草木染め 植物染料 染色前の注意について

こんにちは!稲村一子です。今回は草木染め 植物染料 染色前の注意についてというテーマでお送りしたいと思います。

植物染料は 地下水中の硬度成分 鉄サビ 布に残っている糊 石鹸カス アルカリ その他の汚れ等で 変色や染めムラが起こります。使用する水 道具 材料 布等に注意しなければなりません。

・鉄サビの多い水は適しません。

・染色容器は ステンレス製またはホーロー製が適しています。加熱しない場合ポリ容器が使えます。傷ついて地金の鉄が出ているホーロー容器は使えません。ステンレス製は使用後 表面に付着した汚れをきれいに落として乾燥させれば問題はありませんが 水を入れたまま長期放置するとか 植物染料液(酸性)や媒染液など酸性の液を入れて放置しておくとサビが生じます。またピンホールと呼ばれる腐食が進行します。

・染色工程中の水洗に地下水や川の水または硬度の高い水道水を使用しますと 水に含まれている金属成分が吸収され 発色が少し異なる場合があります。流水での水洗時間が長い程 金属が多く吸収されます。

・糊抜・精錬済の木綿や麻を使います。シルケット加工したものは染料の吸収と発色が良く 未処理に比べはるかに濃く染まります。KLCー1による濃染処理も シルケット加工綿の方が効果が大です。

・絹はそのまま染めるとムラになる場合があります。精錬ムラや精錬後の洗浄不十分が原因です。プローゼKで洗浄後 湯洗い 酸通ししてから染めれば 布が原因による染めムラは防止出来ます。

・羊毛は 塩素処理や防縮処理の有無や原毛の品質等により 染まりつきにかなり差があります。羊毛の性質上 染色中に動かす(もむ)ことにより 毛がからんでフェルト化します。原毛や防縮処理していない羊毛糸を染める場合はできるだけ動かさないよう注意します。防縮処理した羊毛糸は染まりつきも良く 取り扱いが楽です。

・木綿・麻の場合はKLCー1による濃染処理を省くと 黄~茶系の染料が淡く染まるだけで 濃色や スオウ ログウッド コチニール等の染料は染まりません。濃染処理後すぐ染めない場合は乾燥して保存します。

・染色後 布を引き上げず 冷えるまで浸けておく方法は 染めムラの原因となりますので よく動かしながら30~40℃まで染色を続けます。ー夜間浸けっぱなしにするのはよくありません。染めムラができるだけでなく ステンレスから溶け出した鉄による汚染の危険性があります。

・媒染剤は 染料濃度に関係なく 多めに使った方が染料の吸収が良くなり 発色も完全になります。

・媒染~水洗の後 媒染用ソーピング剤を10cc/リットル加えた液でソーピングすることにより 媒染剤がしっかりと固着し 発色します。2回目の染色時に染液中に媒染剤が流れ出さず 染料液がムダなく吸収でき ムラも防止出来ます。

・媒染剤は多めに使った方が 染料の吸収が良く発色も完全になりますが 淡色染めの場合 鉄 銅 クロム等媒染剤が着色しているものでは 媒染剤過剰により 本来の発色に 媒染剤自体の色が加味された発色になってしまいます。

・錫原液「浸染用」 チタン原液「浸染用」は 染料と媒染剤を混ぜて染める同浴染の方が適しています。染料液で染色後 染料液に必要量の錫原液「浸染用」 チタン原液「浸染用」を加え 更に30分染色し 水洗い~ソーピング~水洗いして仕上げます。

・西洋茜 インド茜 インド茜液 日本茜 硬紫根液 紫根等の植物染料は 濃染処理せず 木綿用アルミ液でアルミ先に媒染してから染色します。

今回はここまで。またお会い出来ると嬉しいです。

 

 

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